【 Latte Macchiato (ラテ・マキアート) 】
――コンコン……ココココココンッ。
それは時計が日付をまたいでから数分の、真夜中の来訪者。
部屋の主のマルスは、光にかざしていた剣から視線を逸らして奇妙なリズムを刻むドアを見つめた。
一瞬誰だろうと考えたが、マルスの記憶の中でこんな変なノックの仕方をするのは一人しかいない。
剣を逆手に持ち、イスから立ち上がってゆっくりとドアに近づき、ノブを回す。
「どうしたんだい、ネス? もう夜中じゃないか」
扉を少し開き、自分より低い位置に視線を向けてマルスはそう声をかけた。
ドアの先に居たのは思った通り、ネスその人だった。
パジャマ姿なのはもうすぐ寝ようと思っていたからだろうか。
だとしたらどうしてここに来ているのだろうか。
色々と気になることはあったのだが。
「入っちゃだめ?」
少しだけ寂しそうに感じた視線に、マルスはにっこりと笑ってドアを大きく開けたのだった。
+ + + + +
「ねぇ、ちょっと小腹とか空いてない?」
部屋に招き入れ、イスに座ってもらってからマルスはそうネスに呼びかけた。
「なんで?」
「昼間にピーチ姫達が焼きプリン作ったんだって。それを貰ったんだけど一つ残っててさ。食べるかなって思ったんだけど?」
「あ、食べたい!」
パッと笑顔になったネスに微笑みかけ、マルスは手にしていた剣を立てかけてその準備に取り掛かる。
「プリン冷たいから、暖かいカフェオレでも飲む?」
「うん、飲むー」
部屋を訪れてきた時の寂しそうな表情が気になってはいたが、こうやって別のことで笑ってくれるなら大した問題ではないのだろう。
そう安堵し、マルスはネスのお菓子と自分のコーヒーを持ってテーブルへと戻る。
「はい、どうぞ」
「ありがと!」
嬉しそうなネスのふわふわとした黒髪を撫でてマルスも向いのイスに座り、壁に立てかけておいた剣の束を握る。
「何かしてたの?」
カチャカチャとカップの中のプリンを頬張りながら、ネスは剣を眺めているマルスに聞いた。
マスターハンドによる乱闘の招待者同士では、どんな武器を使おうとも相手を死に至らしめるような事態になることは無い。
鋭利な刃物であろうと、鋭い爪であろうと、爆発物であろうと、怪我はすれども致命傷にはならないのだ。
それでも、その武器そのものの力が無くなっているわけではないのだろう。
マルスの手にしているファルシオンは、「神剣」という名が付くのも納得するほどの輝きを持っている。
あまりマルスの世界を知らないネスでさえも、光を反射して輝きを増す刀身に目を奪われる事もあるのだ。
「もしかして邪魔だったりする?」
「邪魔だったら部屋に入れてないよ」
ネスの言葉にクスリと笑い、マルスは鞘を手にする。
「ちょっと寝付けなかったから手入れしてただけだよ」
『キンッ』と金属特有の音をさせて剣を収め、適当な場所に置いて自分もコーヒーを口にする。
「ところで、どうしてこんな時間に来たんだい? リュカくんは?」
そう言えばと、マルスは気になっていたことをネスに問う。
普段ならこの子らはこんな時間には眠っているし、第一リュカと同室のネスが自主的に一人でこちらに来ると言う事はそう多い事ではない。
雰囲気から察するに、ケンカをしたということでもないようだが。
「リュカね、アイク兄ちゃんに付き合ってもらって戻って来てないんだ」
マルスの問いに、唇を尖らせながら面白くなさそうにネスは答えた。
その言葉に、マルスはカップの中で揺れるコーヒーを見つめながら記憶の糸を辿った。
「アイク……あぁ、そっか。稽古つけてもらってるってやつか?」
最近、チーム戦でリュカとアイクが組んで戦ったのは記憶に新しい。
だがその試合、リュカは結構な割合で相手に狙われ、撃墜されるという事態が起こっていた。
敵のチームの作戦なのだろうが、それがおそらくリュカに「強くならなきゃ」という思いを湧きあがらせたのだと思う。
それからたまに、夜にアイクに稽古をつけてもらってるというのをネスからは聞いていたのだが。
「そんなに遅くまでやってるのかい?」
「いつもはもう帰って来てる。今日だけなんだ。多分リュカが疲れて寝ちゃったとかじゃないかなぁ」
プリンをつつきながらボヤき、ネスはさらに続ける。
「アイク兄ちゃんも『稽古』とかそういうのになると本気で付き合っちゃうでしょ?」
「まぁアイツは傭兵だから。そういうのに対するベクトルは大きいだろうね」
剣と共に歩んでいると言っても過言でない彼の人生と生活を考えれば、それは当然のことだ。
「もう、アイク兄ちゃんと同レベルの特訓なんかしてたら、リュカがリュカじゃなくなっちゃうよー!」
なにやらむくれたりとコロコロ表情を変えるネスを見て、マルスは思わず吹き出しそうになってしまった。
リュカは「責任感」というか、「自分のせいで」と考える傾向が強いのは確かだ。
申し込んだ相手が『アイク』だとするなら、おそらくきっちりと戦闘を叩き込まれる可能性も無きにしもあらず。
しかし「強いリュカ」というのを想像しようにも、どう頑張っても姿すら思い浮かばずにマルスは一人で苦笑した。
「そうだねぇ、リュカくんはリュカくんのままが一番かな」
「でしょ? もー、リュカってば無茶ばっかりするんだから」
ネスはカフェオレのカップを両手で持ち、ふーっと息を吹きかけると同時にため息を吐いた。
「なるほどね。で、リュカくんも戻って来ない、一人で寂しくてココに来た、てことでいいのかな?」
ふいにマルスが言った言葉に、ネスはカフェオレを飲もうとしていた手をピタリと止めた。
「……だって、一人じゃつまんないんだもん」
しばらくの間を置いて、ネスはカップを傾けながらもごもごとそう呟く。
白いカップの中に響く言葉がマルスに届いているかは謎だが、どうごまかそうとしたってすでにバレているのだからどうしようもない。
その心を誤魔化すように残っていたプリンを一気に頬張る。
プリンの柔らかい下触りと甘さ、そしてカラメルのほろ苦さがふわっと口の中に広がるのがなんとも言えずに美味しかった。
「ん……ごちそうさま、すごい美味しかった」
「でしょ? 明日、一緒に姫達にお礼を言いに行こうか」
「うん!」
それはもう本当に「美味しかったんだな」と分かるほどの笑顔で頷くネスに、マルスもにっこりと笑みを返した。
と、何かに気付いたマルスは手をチョイチョイと仰いでネスにこちらに来るよう促す。
なんだろうと首を傾げながらも、ネスは呼ばれるがままにイスを降りてマルスの方へと歩みよった。
「なぁに?」
「付いてる」
「何が?」
わけが分からないとさらに首をかしげると、マルスはひょいとネスを両手で抱き上げて自らの膝の上に下ろした。
「な、何?」
向かい合うように抱きしめられ、ネスは顔が熱くなるのを感じた。
そんなネスを見つめながら、マルスは笑顔のまま指先である場所を指差す。
「プリン付いてるよ」
「え?」
どこにだろうと視線をその指の先を見ると、ふいにマルスが一気に顔を近づけてきた。
思わず反射的に目を閉じてしまったネスは、唇の端に暖かい感触を感じて少しだけ身を震わせる。
「ん〜、甘いね」
一瞬の合間に離れていったその感触に、ネスはドキドキしながらゆっくりと目を開けた。
(キ、キスされるかと思った……)
「……キスされるかと思った?」
と、唐突に考えた事が、同時に言葉となって耳に飛び込んできた。
それも、マルスの口からである。
予想外の出来事に、ネスは頬を一気に赤くして目を大きく見開いてしまった。
「な、なな、何、が!?」
「ん? 目を閉じてたからね。状況的にキスされるって思ったな、てさ」
「別に、そんなこと思ってなんか…」
「思ってなんかない?」
言いながら、つぃっと指先でネスの顎を持ち上げて視線が合うように顔を向けさせる。
顔が真っ赤になっているということは、確実に図星ということだ。
「ウソついたって、僕にはわかるからね?」
トドメだとばかりにそう言うと、ネスは少しばかり口を震わせて諦めたように眉をひそめた。
「兄ちゃん、ずるい。わざとしたでしょ」
「まさか。口の端にプリンが付いてたのは本当だもの」
「本当だとしても! わざわざ……な、舐めなくてもいいじゃん!」
「どうして?」
「ど、うしてって……」
「変なこと考えるから?」
目を細め、意味深に問い掛けるとネスの顔がより一層朱色に染まる。
ネスの逃げ道を無くす様に、意地悪く言葉を選んでいる自分が酷くさもしく感じる。
「ドキドキしたんだよね? キスされるかもしれないって……」
けれども、この子の表情があまりにも可愛いのだからしょうがないじゃないか。
分かっているのだ、こんな風に抱き上げてあんな風に顔を近づけて。
ネスがその先を想像することを百も承知で、煽ったのだ。
「キスされたら、それ以上もあるのかなって思ったよね?」
指先で顎を抑えられているから視線も逸らせずに。
ネスは真っ赤になったまま身動きも出来ず、ただマルスの目を見て言葉を聞いていることしか出来なかった。
心臓がバクバクと嫌にうるさく耳の奥で鳴っている。
「ぼ、く……は……」
やっとのことで吐き出し声にも力を込める事が出来ない。
青い目で見据えられると、考えていること全部が読まれるような気がしてしまう。
きっと嫌だとはっきり言えば、マルスは腕の中から解放してくれるだろう。
でも、それをしたくない自分がいる。
この先で何をされ、何を感じるのか、どうなってしまうのか。
それを全部分かっている。
そしてそれを感受したいと思ってしまっている。
だから、離して欲しくない。
「ネス」
こちらの服を握り締め、抵抗も拒否の言葉も吐かなくなったネスの考えを読み取り、マルスはその赤く染まった柔らかい頬に口付けをする。
少しだけ濡れた音をさせると、ネスの身体が僅かに震えるのが分かった。
つくづく自分は酷い人間だなと思ってしまう。
逃げられないようにその心を流し、欲しがるように仕向けるなんて。
でも、どうしてもネスが欲しいから。
「ネス」
頬から唇を離し、鼻先がかすかに当たる程度の距離からネスの瞳を見つめる。
黒く大きな目が僅かながら濡れているように見えるのは気のせいではない。
否定も拒絶も無く、服をキツく握っているその手が何よりの証拠だ。
ふっと目を細めて笑うと、ネスは内心がバレたのだと分かったらしく胸元に顔を押し付けてきた。
(可愛い、すごく可愛い)
もうこの思いを抑える必要も無いだろうと、マルスは軽々とネスを抱き上げるとベッドへと移動した。
軋んだ音をさせてベッドに身を沈ませるネスの上に覆い被さり、そのまま唇を重ね合わせ何度か角度を変えて啄ばむ様なキスを繰り返す。
「んっ……」
ピクリとネスの身体が反応したのに目敏く気付き、マルスは唇を離してネスの頬を撫でた。
「ネス、舌出して」
囁かれた言葉に、ネスは僅かに身じろぎをして抵抗を示した。
でも、それは拒絶というよりは羞恥から来るものなのをマルスは知っている。
だからネスから動くよう、じっと黒い瞳を見つめながらそれ以上は言わず、ただ頬を撫でるだけに留めておかねばならない。
しばらくの間、宙をさまよう様にきょろきょろと逸らされていたネスの視線が、次第にこちらに目を合わせるようになってきた。
真っ赤になっている頬が愛しくて、マルスはふと端正な顔に笑みを浮かべた。
その瞬間、ネスの視線がマルスの目でぴたりと止まり、
「……っ……」
次にぎゅっと目を閉じて、ほんの少しだけ舌を唇の合間から覗かせてくれた。
きっと今の自分は、ネスが見たら「意地が悪い」と激昂されそうなほどの笑みを浮かべているだろう。
僅かに見える赤く濡れた舌先を自らのそれで少しだけ突くと、驚いたのだろうか、ネスの小さな身体が再び震えた。
逃げられる前にと、かぶりつくかの様にその幼い舌を絡めとリ、唇を重ねて口内を貪っていく。
先ほどネスに食べさせたプリンの甘い香りが僅かに鼻をくすぐる。
「んっ……ぅん……」
徐々に甘くなっていくネスの声に、マルスは身体を快楽が駆け抜けるのを感じた。
普段は無邪気で底抜けに明るいこの少年が、自分の腕の中でだけ醜態を晒し、頬を赤く染めている。
背徳的なこの光景がマルスを酷く酔わせていく。
息苦しくならないよう唇を離せば、互いの舌を濡れた唾液が糸を引いていく。
淫猥なその光景に、目を潤ませて荒い呼吸を繰り返すネスの姿に身震いがする。
「マルス、にい……ちゃ……」
呼吸の合間に名を呟かれ、マルスは笑みを浮かべたままもう一度唇を重ね、舌を差し入れた。
逃げようともがくネスの舌を吸い上げれは、その幼い身体の震えが少しずつ強まっていく。
伸ばされた手は服を握り締めたまま、離す気配はない。
濡れた音を立てながら唇を放し、そのままゆっくりと耳の方へと舌を差し向ける。
耳全体を甘噛みすると、耐え切れないとばかりにネスが高い声を上げる。
「やっぁ……あ……」
耳の裏筋をなぞり、わざと音を立ててやれば面白いほどにびくびくとネスは身体を跳ねさせた。
「にいちゃっ……それ、やっ……!」
「いや? ウソついちゃダメだよ、ネス」
反射でだろう、身体を押しのけようとするネスを抑え込み、今度は耳から首筋へゆっくりと舌を動かしていく。
ほんのりと赤くそまった皮膚を吸い上げ、赤い痕を残しながらマルスは片手をズボンの中へとすべり込ませた。
「っあ、んっ……」
そして、幼いながらもすでに熱を持ち始めていたネスの性器に指を絡めると、甘い嬌声が堰(せき)を切ったように溢れてきた。
「マルス、にいっ……あ、あぁ!」
身体に一気に流れてくる感覚に抵抗する事も出来ず、ネスは背を仰け反らせて喘いだ。
気付けばパジャマの上着もめくり上げられ、薄い胸元をマルスの舌が這っているのが目に飛び込んできて。
羞恥にカッと顔が熱くなるのを感じている合間に、あっさりとズボンも下げられてしまった。
「やっ、やだぁっ!」
晒された性器が部屋の空気触れて、少しだけ冷やりとした感覚を与えてくる。
自分がどんな格好にされているのかを嫌と言うほど感じてしまい、ネスは慌てて身を起こしてズボンを剥ぎ取ろうとしているマルスの手を掴んだ。
「何、ネス?」
「な、にじゃなくて……恥ずかしいからやめてッ」
両目をキツく瞑りながら、ネスは必死にマルスの手を退かそうと力を込めた。
けれども明らかに感じている体でそんな力が出せるわけも無く。
それどころか、
「恥ずかしい? じゃあもっと恥ずかしくしてあげるよ」
なんてにっこりと微笑んで言われてしまい。
「やっ、お願いだから……」
抵抗は意味を成さず、マルスはすっかり起ち上がっているネスの性器を口に含み、奥までくわえ込んでしまった。
「いぁ、ああっん……」
じゅくじゅくと濡れた音を立てれば、ネスの小さな身体が何度も跳ね、甘い声が部屋に響き渡る。
ネスが快楽に震えているのをいい事に、マルスは下着ごとズボンを完全に取り払ってしまった。
「やめッ、恥ずかしい……!」
上着もたくし上げられているせいで、ほぼ全裸に近い姿を晒していることが余計にネスの羞恥を煽っていく。
自分はこんな状態にされているというのに、マルスの衣服には一切の乱れも無いのだ。
簡単に流されてしまう自分が、あっさりと感じてしまう自分が、恥ずかしくてたまらない。
「いやらしいね、ネス」
ぐちゃぐちゃになりかけている頭に追い討ちをかけるように、マルスがネスの性器を舐めながら呟く。
「キスされて、触られて、舐められて……こんなにどろどろになってるよ?」
言いながら先端を軽く吸い上げると、少し苦みのある液体が溢れてくる。
それを啜りながら口内全体を使って幼い性器を咥え込み、愛撫を与えていく。
「ひ、やぁああっ!」
一段と大きくなった喘ぎに、マルスはネスの限界が近いのを察した。
自分の愛撫で乱れていく姿がたまらなくいじらしくて。
髪に触れている手も、もはや引き離すための意味など欠片もないのだろう。
身体を震わせて与えられる快感に溺れていくネスに、マルスは自分も昂っていくのを感じていた。
「あぁ、んっ……マルス……」
喘ぎ混じりのネスの呼びかけに、愛撫は休めずに視線をだけを上げて先を促す。
「お願い、放してぇ……」
すっかりと快楽に飲まれた目付きながら、ネスはそんな言葉を言ってきた。
少し意外だと、マルスはわずかに眉を潜める。
だが本当に意外だったのは、
「先にイッちゃうの、ヤダから……」
荒い呼吸と共に聞こえてきた、そんなネスのセリフだった。
「ネス?」
ちゃんとした意味を聞かせて欲しくて、マルスはネスの下腹部から顔を上げて続きを待った。
「あ……マルスと、一緒がいい」
そう言って胸に顔を埋めてきたネスの頭を、マルスは愛しそうに撫でる。
あぁ、どうしてこんないじらしいんだろう。
他の誰も知らない、自分だけに見せるその姿がたまらなく愛しい。
「一人じゃイヤなんだ?」
腕の中でネスがコクリとうなずく。
「そっか。じゃあ一緒に気持ち良くなる?」
頬に口付けを落としながら問うと、ネスは少しだけ顔を上げて、
「マルスと一緒がいい」
確かにそう答えたのだった。
+ + + + +
「ネス、辛かったらちゃんと言うんだよ?」
はりつめている自らの猛りを最も奥の秘所へあてがいながら、マルスはベッドに身を沈めているネスにそう声をかける。
大の大人勢に比べれば、どちらかと言えばマルスは細身の部類に入るだろう。
それでも、まだ少年であるネスとの体格差は明らかだ。
受け入れる側のネスが傷つかないように気をつけてはいるが、それにも限界はある。
なるべく痛みを感じさせまいと丁寧なほどの愛撫を与えるが、受け入れる際の苦しさは拭えやしない。
「うん、平気」
かすかに微笑みながら、ネスは腕を伸ばしてマルスの服を掴む。
「一緒がいいんだ」
そんな言葉に愛しさを感じつつ、マルスはネスの頭を撫でながらゆっくりと身を進ませた。
「あ、あぁっ」
「ん……」
徐々にだが、ネスの身体の中に侵入していく性器からの快感がマルスの背を走っていく。
少年の幼い窄まりの中に自分のものが飲み込まれていく背徳的な光景は、これ以上ないほどの快感をマルスに与えてくる。
目の前の愛らしい姿を貪りたい欲望を抑えながら、マルスはゆっくりとネスの内部を犯していった。
「マ、ルス……」
「もう少し、我慢して」
「うん、ぁ、あ……!」
「っく……」
少しキツいネスの中の締め付けを味わいながら全てを収めきり、目を細めながらマルスは聞いた。
「……ネス、入ったよ。平気かい?」
慈しむように優しく頬を撫でると、羞恥と快楽で赤くなったネスがとろけたような笑みを浮かべ、
「へい、き……中、気持ちいいよ……」
そんなセリフを甘い声で呟いてくれた。
ネスの姿に、理性が崩壊しそうになるのをギリギリで抑えながらマルスはネスの足を抱え直した。
「動くよ?」
「ん、来て……っひぁ!」
ネスの答えを受けてから、マルスはゆっくりとネスの中で律動を始めた。
「や……ぁあ、あっ」
「ネス……」
「っあ! そこ、は!」
奥まで突き上げる途中の一点をマルスの熱が擦る度に、ネスの幼い性器から先走りが零れ出す。
慣らすために施した愛撫のせいもあり、身体が満たされたいと欲望のままに快楽を受け入れているのだろう。
背をのけぞらせながら甘い嬌声を上げるネスに、マルスは唇の端を吊り上げて笑みを浮かべた。
「ここがいいんだよね?」
「や、ダメェ……!」
「ウソはいけないよ、ほら」
「やだぁ、あぁぁ!」
ネスの弱い場所を攻め立てながら、マルスは快感に震える性器にも手を伸ばす。
先走りでぐちゃぐちゃになっているその様子に、マルスは無意識に喉を鳴らした。
「ネス、可愛いよ」
快感に溺れ、あられもない醜態を晒すこの少年がこの手の内にあるという征服感が、自分を酷く昂らせる。
「もっと気持ち良くしてあげる」
そうネスの耳元でそう囁き、濡れた性器に指を絡めて一気にこすりあげた。
「ぃっ、やぁああ!」
急に与えられた刺激と中からの愛撫に耐えきれず、ネスは幼い性器から欲望を吐き出してしまった。
「まだイけるよね?」
「や、ダメだって……」
「だからウソはだめだってば」
「マル、スっ……ひ、ぁあ!」
言い方は優しいのに、その手の動きはネスの感じる場所のみを攻め立ててくる。
イったばかりで敏感になっている身体に、その刺激はあまりにも強すぎて。
「はっぁ……あ、ぁん……」
ぐちゃぐちゃになった頭は与えられる欲を貪り、さらに次が欲しいとねだり続ける。
萎えかけた性器もあっという間に熱を取り戻して解放を望んでしまっている。
奥を突かれる度に締め付けてしまうマルスの熱からの快楽の強さも増し、ネスの理性や羞恥はすでにどこかへと押し流されてしまっていた。
「あ、あ……またイっちゃう……!」
「いいよ、イって……」
「やっ、一緒……が、いい」
マルスの服の裾を掴みながら、ネスは恍惚とした表情を浮かべながらもそう言った。
「マルスと、一緒がいい」
「ネス……」
あぁもう、どうしてこんなにいじらくて可愛いのだろうか。
震える小さな身体を抱きしめ、熱い吐息を漏らしている唇を自らのそれと重ね合わせた。
濡れた音をさせながら舌を絡め、そのままネスの奥を突き上げるとくぐもった喘ぎが零れ始める。
幼いながらもしっかりと昂ぶりを咥え込み、キツいほどの締め付けを与えてくる内壁の動きに限界が近いのだろうとマルスは察する。
唇を解放したとたんに上がる喘ぎが、それをより確かなものにしていた。
「あぁ! も、うダメェ」
「ん、僕もイくから……」
「やぁ、あ、あぁぁっ!」
ネスの中の弱い場所を擦りあげながら最奥を突くと、幼い性器から白濁の液が溢れ、零れていった。
それと同時に、マルスも律動し、締め付けるネスの中へと熱い欲望を吐き出した。
「……あ、あぁ……」
「ネス……」
中を満たす熱に震えながら、ネスは事後の虚脱感から一気に身体の力が抜けてしまった。
マルスは未だに少し朦朧としている様子のネスを抱きしめ、その頬に口付けを落とす。
「大丈夫?」
「ん……平気だよ……」
赤らんだままの表情で微笑みながら言うネスを腕の中で抱きしめながら、マルスはその愛しさをかみ締めた。
自分はやっぱりこの少年に酷く満たされてしまっているようだ。
「……マルス」
「なんだい?」
「あのね……」
疲れからだろう、ウトウトし始めているネスは何かを伝えようと必死に言葉を紡いだ。
「あの……部屋、ね……」
「うん」
「入れて、くれてあり、がと……嬉しかっ……」
胸元で囁かれる言葉が信じられないぐらいに心を満たしていく。
別にこういう事をしようと招きいれたわけではないが、寂しい時に思い出してくれたのが自分だったというのが、すごく嬉しかった。
「ネス……」
「マルス……あったか、ぃ……」
そう言って笑い、ネスはそのままゆっくりと眠りへと落ちてしまった。
この腕の中に収まっているそのいじらしい姿が、あまりにも可愛くてどうしようもなくて。
「まいったなぁ……」
すっかりとこの子どもに魅了されている自分に改めて気付き、マルスはやれやれと嬉しそうにため息を吐いた。
「キミも暖かいよ、ネス……」
+ + + + +
次の日の朝、リュカと共に朝食を食べに現れたアイクにネスがなにやら小言を言っていたが、それはまた別の話である。
「そんなに怒らなくてもいいのに」
リュカに宥められながらもアイクへの猛攻を止めないネスの背後で、マルスはクスリとそう笑っていた。
「僕としては、ありがたいぐらいだったけどね」
そんなマルスの表情を、ネスは知らないままだけれど。
ネスの様子から、当分リュカとアイクの特訓は無しにされそうである。
それに少しだけ寂しいなと思う自分に、マルスは笑うしかなかった。
――これは重症だな。
おそらく永久的に治らないであろう、心の病。
* * * *
ちょっとしたヨタ話。
ついにやってしまったが後悔などしていない(笑)
いやんネタはあまり深く語りづらいので言葉少なめですが、なんだかんだでネスもマルスもお互いが大好きなんだよー、と。
あと出だしのノックは、MOTHER2でポーキーがネス宅を訪れる際、妙なリズムのノックするじゃないですか。
あれをちょっと意識して、ネスも変なノックしてたら面白いなぁって。
タイトルは、まぁ分かる通りコーヒー系の飲み物の名前なんですが。
ちょろっとだけ妙な意味深をこめてみたりしました。決して純粋な意味合いではありませんが(´∀`;
* * * *