【 色情 】
リンピトで軽くR15なお話なのでご注意ください。
あと勝手に亜空の偽者が出てきたりします。
亜空の偽者が本物にも興味あったら面白いなという妄想の結果です。
寛大なお心でどうぞ(笑)
+ + + + +
世界を飲み込もうとする異空間に突入してから数刻、一時は全滅しそうになりながらもなんとか体制を立て直したのだが。
爆弾によって切り取られた世界が広大な迷宮となって、全員の目の前にたちふさがっていた。
しかも迷宮内に存在する自らの偽物や、今までに戦った強者達を再び倒さねば敵の大元にはたどり着けないということが判明し、彼らはいくつかのグループに分かれて道を切り開いていくことにした。
しかし不規則な繋がりの迷宮を前にし、ピットは一人グループからはぐれてしまっていた。
「まいったなあ……」
そう敵の多くない道を進みながらピットはあたりを見回した。
後ろには今まさに通ってきた扉が見えるが、それ以外の道が見つかっていない。
仕方がないとため息を吐き、とりあえず先に進んでみようと走り出す。
空や地面から湧いてくる敵を吹き飛ばしながら進むと、壊れた石の柱を越えた所に黒い影が溢れさせている扉が見えた。
ピットは足を止めてそれを見上げ、神弓を切り離してそれぞれの手で握り締めた。
黒い影をまとった扉は自分達の偽物がいる証拠だ。
「相手、誰だろう」
誰であったとしても負けるつもりなどないのだが。
ふと一緒のグループで行動していたリンクが頭をよぎった。
一度、誤解で刃を交える羽目になったが、以降はマリオ達も含めた全員で一番長く道中を駆け抜けてきた。
中でもリンクとは、弓と言う共通の武器や意外に歳が近いこともあり一番話すことが多く親密になっていた。
「リンクだったらちょっとやりにくいかなー」
とは言っても今まで戦ってきた仲間の偽物も、見た目や戦い方が同じなだけで差したる問題は無かった。
本人でないのなら迷うことなどない。
「とにかく、誰でもいいから早く倒してみんなと合流しなきゃ」
自分がはぐれている事実を改めて思い出し、ピットは羽を広げて跳躍して扉を押し開けた。
溢れる影を腕で払いのけながら、軽い音をさせて黒い地面に着地する。
光の届かない部屋を見回すと、奥に黒い人影が見えた。
「誰?」
双剣を構えるピットとは裏腹に、敵はゆっくりと傍に近寄ってくる。
徐々にはっきりとなる輪郭が分かったとたん、ピットは僅かながらに驚いてしまった。
「え、リンク……」
背のマスターソードを抜く姿に一瞬呆気にとられそうになったが、黒い影を纏う彼は偽物なのだ。
気を引きしめて偽物を睨むピットだったが、
「……ピットか。会いたかった」
今まで言葉を発した偽物はいなかった。
正確に言えば会話をした、と言う方がいいかもしれない。
だからだろう、相手がリンクだと分かった以上にピットは動揺した。
「なんで……」
「それは何に対する疑問だ?」
ニヤリとした笑みを浮かべるリンクの表情にも驚き、ピットはしどろもどろに答えた。
「何って、どうして話を…」
「お前達が話せるのだから当然だろう」
「それは、そうだけど……じゃあ僕に会いたかったって……」
「それはそのままの意味だ」
意味が分からないと首を傾けるピットに、黒い影を纏ったリンクは笑みの表情を変えることなく続ける。
「俺はリンクだ。だからお前に会いたいと思った。それだけだ」
「……僕に? どうしてリンクがそんなことを?」
「なんだ、お前は何も知らないのか」
面白いことを知ったとより歪んだ顔を見せるリンクに、ピットは背筋に冷たい物を感じた。
いけない、逃げなければ、倒さなければ。
相反するが、どちらも身を守るための手段だった。
普段なら素早さはピットの方が上なのだが、今までの相手とは違う雰囲気に呑まれ、僅かにリンクの動きについていけなかった。
振り下ろされた剣は弾いたものの、衝撃で足がもつれ身体のバランスが崩れた。
隙を狙うようにして脇を蹴られて黒い地面に叩き付けれられ、痺れた片方の手からは神弓の刃がすべり落ちていった。
すぐさま腕を伸ばしてみたが、それに気付いたリンクの足がより遠くに剣を弾き飛ばす。
しまったと気付くのと同時に喉元に剣の切っ先が突き付けられた。
「もう弓に戻す事も出来ない。双剣の片割れのみでどうする?」
戦えないだろうと言葉で突きつけられ、ピットは悔しそうに残った剣をキツく握り締めた。
「それでも……僕は負けられない!」
強く言い放つと共に羽を広げ、ピットは僅かに空に上がりリンクの横をすり抜ける。
だが――
「甘い」
遠くに落ちている剣を確認し、手にしようとした瞬間に身体が何かに引き止められた。
背に鈍い痛みを感じて振り返ると、リンクの手から伸ばされた鎖が羽を絡め取っているのが見えた。
自らの白い羽に巻きつく鎖に驚いていると、そのまま力任せに引きずられ再び地面に身体を打ちつけてしまった。
「痛っ……!」
「往生際が悪い。素直に大人しくしていればいいものを」
「嫌だね! 負けるつもりなんかない!」
「こっちも倒すつもりなんかない。抵抗しなければいいだけの話だ」
「倒すつもりがないって……じゃあ何を考えてるんだよ」
「何、か」
喉の奥で笑うその姿に、ピットは戦いなどで得るものとは違う悪寒を感じた。
「いい事を教えておいてやろう」
――逃げなきゃ、でもどうやって?
「俺たちは、お前たちそのものだ。お前たちが望んでいるものは俺たちだって欲しい」
――何を言っているんだ、こいつは。
「だから、俺はお前が欲しい」
顎をつかまれ視線を合わせるように無理やり上向きにされて。
痛みに顔をゆがめていると、ふいにリンクの顔がかぶさってきた。
唇が重ねられていると分かるまでに時間がかかったのは、この状況に頭がついていけてないからなのだろうか。
「お前をめちゃくちゃにしてやりたい」
****
黒い空間に響く濡れた音に耐えきれないとばかりに、ピットは頭を左右に何度も振った。
腕は鎖で縛られ、抵抗もほどく事も叶わずにだらりと投げ出されたままだ。
羽も先ほど叩き付けられた際に痛め、思うように動かすことが出来ない。
「いやだ、もう……」
掠れながらも熱っぽさの抜けない声に、リンクは完全に起ち上がっているピットのモノを口に含みながらせせら笑った。
「もう、か。これで何度目だ?」
「ひっ……知らな、ぁあ!」
言いかけた途端に強く吸われ、ピットは身体が大きく跳ねる。
芯から爪の先にまで駆け抜ける感覚に耐えきれないと涙が溢れて止まらない。
「泣くほど良いか」
含んだまましゃべることさえ快感になると知っていながら、リンクは続けた。
「天使が聞いて呆れるな。いや、天使だからこそか?」
「やぁっ、喋るな……!」
「……そうか、なら」
言ってリンクは白濁混じりで濡れたそれから口を離し、舌で唇にまとわりつくを液を舐め上げる。
あまりに卑猥な姿に、ピットは頬をより赤らめて顔を背けてしまう。
今まで感じたことのない、口内の独特の熱からは解放されたものの、高ぶったままの自身が落ち着くわけもない。
熱いため息を吐くピットを他所に、リンクは首筋や無惨にも裂かれた服から覗く首や胸に指を這わせるだけだ。
弱い部分を指がなぞるのだろう、声は出すまいと口をキツく閉じてはいるものの、他は抑えが効かないらしく、時折身体が跳ねるのが面白くて仕方がなかった。
「どうした、足りなさそうな顔だな」
「だっ、誰がそんな顔するもんか!」
「強がるな……だが自覚はあるんだろう?」
そう言われ、次に熱を感じたのは服を破かれた時に散々なぶられた部分だった。
だいぶ前から触れられていないと言うのに、胸の赤い突起は敏感なままだったらしく、ピットが想像していた以上の甘い痺れが身体を走り抜けた。
「あ、あぁっん……」
熱い舌先で遊ばれて唇で甘噛みされ、音を立てて吸われればピットは馴れない快感に意識が遠のくのを感じた。
耳に届くのは自分の荒い呼吸と情けないぐらいに甘ったるい喘ぎ。
そして身体をまさぐる濡れた音だけ。
「ほんとにっ……も、やめて……」
身体の芯を痺れさせる感覚は、さっき愛撫から放られたままの自身を煽るには十分過ぎたようで。
口には出せないが、自然とピットは下半身に視線を泳がせてしまっていた。
「やめていいのか?」
それに気付いていながら無視をし、リンクはピットの薄い胸から顔を上げた。
「辛そうだな?」
皮肉るように笑ってみるが、さっき拒絶したような強い態度がピットからは消えていた。
ただ弱々しく首を振り、――自覚はないのだろう――懇願するような視線を見せるだけだ。
「どうしてほしい?」
貪りつくしたい衝動を抑えながら、リンクはわざと耳元で囁き答えを促す。
けれど言葉にするには抵抗が大きすぎるのだろう、ピットは涙を溢しながら荒い呼吸を繰り返すばかりだ。
「……ここじゃないのか?」
言いながら未だ熱を持ったままのピット自身に緩く触れてみる。
「や……」
言葉にはなっていないが、吐かれた声色には待ち望んでいたかのようなものがあった。
気を良くしたリンクはピットを絶頂へと促すために性器を強く握り、擦り上げた。
「だ、だめ……!」
すでに吐き出されていた白濁と新しく溢れてくる液のせいて、否応無しに濡れた音が響く。
「も、やぁっあ!」
どうしようもない感覚が身体じゅうを駆け抜け、ピットはいよいよ声を上げることしか出来なくなっていた。
「リンク、リンク……!」
偽物だと頭では分かっているのに、同じ姿だというだけでこんなにも流されてしまうのか。
「どうして、どうしてこんな、こと……」
喘ぎの途中で聞かれた疑問に、リンクは最初の方で見せた嫌な笑みを見せた。
「言っただろう。俺はリンクそのもの。俺の願望は奴の願望だ」
「ウソだっ……んんっ」
驚くピットを黙らせるつもりで口付けをし、顔を近づけたまま告げる。
「ウソなものか。お前が欲しくてたまらないんだ。ただ見せていないだけで」
「そんな、ウソだ……」
信じられないと顔色を悪くしかけたピットだったが、絶頂へと押し上げる感覚になすすべもなく流されていく。
「待っ……僕、また……いやだぁ!」
「素直になれ」
「やっあぁあ!」
高ぶっていく熱に耐えきれず、ピットは身体を震わせて白い液をリンクの手の中に吐き出した。
「っははは、良い姿だな」
嘲笑を含んだ声にも、荒い呼吸を繰り返すだけでピットは何も言い返せなかった。
ただ小さく「リンク、助けて」と呟くピットに、身に纏う影を色濃くさせたリンクは言った。
「喜べ、お望みの相手が来るぞ」
え、とピットが微かに首をかしげた時、誰かの足が地面に下り立つ音がした。
ゆっくりとその方に顔を向けると、そこには影を背負っていないもう一人の、本物のリンクがいた。
「リンク……来てくれた」
「……ピット?」
地面に伏す姿に驚きを隠せない様子のリンクに、影が荒い笑い声を上げた。
「はははは! 遅かったなぁ?」
「何を……貴様ピットに何をした!?」
「何を? お前がしたいことをしたまでだ」
「ふざけるな!」
叫びながら手にしていた剣を振り上げ、自らの影へと斬りかかっていく。
「はははっ! 取られて悔しいか?」
「うるさい、黙れ!」
剣を交差させたまま影を睨み付け、リンクは叫んだ。
「一体なんであんな事を…」
言って部屋に飛び込んだ瞬間に目にしたピットの姿を思い起こす。
裂かれた服と下半身を濡らした姿は、何があったのかを容易にさせる。
だが影はニヤニヤと笑ったまま答えた。
「なんで? それはお前が知っているだろう?」
「なっ……」
「本当は手に入れたくてたまらないくせに。汚して、犯して自分のものにしたいくせに」
「黙れ!」
叫びながら交差させていた剣を弾き影の足を払った。
地面を転がる影の身体を足で押さえつけ、喉元に剣を突きつける。
それでも影は黙らなかった。
「本心では俺を妬んでいるんだろう? 仲間を傷つけられた憎しみじゃなくて、奪われた悔しさで一杯だろ?」
「俺はそんなこと……!」
「思ってない? 本当にか? ウソをつくな。俺はお前の影だ。本心ぐらい知っている」
「うるさい!」
「はははは! お前、うるさいと黙れしか言わないんだな」
影が吐いた言葉に、リンクは頭が真っ白になった。
「本心を言われるのが嫌なんだろ?」
――違う。
「あの天使に知られるのが嫌なんだろ?」
――違う。
「否定しないのは、これがお前の本心だからだろ?」
「うるさい、黙れ……消えろ!!」
叫びと勢いにまかせ、リンクは影の喉元を剣で一突きにした。
切られた場所からあふれ出るのはただの黒い影の塊たちで、影は相変わらずな笑みを見せていた。
「っくく……馬鹿な奴……」
最後の最後まで変わること無かった表情のまま吐き捨て、影はいよいよ地面に溶け込むように消えていく。
地面に刺さった剣を抜いて背の鞘に仕舞いこみ、リンクは恐る恐る倒れこんでいるピットの傍に歩み寄った。
「……大丈夫か?」
触れて良いものかと伸ばした手を泳がせていると、ピットがそれをやんわりと掴んできた。
「リンク、来てくれた……」
「ピット」
うっすらと微笑むピットに、リンクはどこか胸が痛むのを感じた。
「ねぇ、影はあんなこといってたけど違うよね?」
「え?」
なぜ身体がぎくりと硬直するのか、リンクにも分からなかった。
「影はあんなこと言ってたけど、リンクはこんなことするはずないよね」
そう言って腕の中に潜り込んでくるピットに、リンクは何も言えず、
「……ごめん」
ただそう呟くことしか出来なかった。
「リンク?」
どうして謝っているのかわかっていない様子のピットを抱きしめ、リンクは涙を一筋こぼしてただ呟いた。
「ごめん、ごめん……」
本当はこうやってピットを抱きしめる資格さえないのだ。
影の言葉を拒絶できなかった自分に気付かされた。
黙れと叫び、真実を告げられるのを恐れた。
――俺はこんなこと、望んでなんて……
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